ハンディのある人との『筆談コミュニケーション』

自閉症、ダウン症、重度心身障害の人たちの豊かな内面と出会えます

親子の思いが伝わる指談コミュケーション


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題名 親子の思いが伝わる指談コミュニケーション  202X年夏

事業所(生活介護)とショートステイを利用して生活されている30代のMさん(男性)とお母さんそして支援者(七野・月1回のセッション)とのやりとりです。

(長い間通っていた病院を変わることになって、しばらくしてからのやりとりです。Mさんは、辞書とおしゃべりが大好きな方です。それでも、気持ちや考えは筆談で伝える方が得意です。筆談を小学生からする事で、音声言語でも想いが話せる様になってきています。()は補足、「」は音声)

第1話 病院を変えたことについて

M:::Mはいつも通りがいいんです。

(変わった)Aの病院の先生はさっぱりしているので、つかまえどころがある(本人が感じている)って、感じです。

お母さんが安心して行くことが出来るなら、Mはいいけど、でもお薬の数とか量とか、そんなにすぐわかるなんて(前病院とは少し変更のある薬の処方だった)不思議です。Mは、同じがいいんです。

七野:::「ちょっと 心配なん?」

M:::まだ わからないけど、やっぱり若い先生がいい(今回のA病院のドクターは、前のドクターより、年齢が上)

M母「若い先生がいいって思っているの?(今のドクターの方が、キャリアがあるよ)」

M:::キャリアといっても、Mに会うのは初めてでしょう

M母「色んな人に出会ったから わかってくるでしょう?」

M:::Mの心はいつもちょっと不安なんです。

身体が思うように動かないことが、ちょっとでも解消されたらいいけど(言葉がでないので、すぐに身体が動いてしまう)、今の薬は頭が落ち着くだけで、身体の動きをコントロールするにはならない。

M母 「昼間、事業所で寝てしまう事が、最近多いことについては?(薬の副作用かなあ)」

M:::ビーズ(事業所でのビーズ商品作り)はしたいんです。でもなんか ねちゃうんです。

暑さだけなのか、薬がききすぎているのか?

また なんかいやな薬(副作用の眠気)で寝らなあかんの!!(少しイラッてしたかな)

に事業所では、寝てしまうことあるけど、「手伝って(スタッフのしていること)」って言われると、うれしいから手伝います。

やっぱり、役に立つって いいもんですよ(ニコッ!)

(お互いの気持ちを伝えたことで落ち着いて、病院の話しはここで一段落しました。)

追記 この後(薬変更の効果か?本人のすっきり感の効果か?)、事業所では寝ることがなくなり、またビーズでかわいいキーホルダーを作ることが出来るようになりました。七野は、そのキーホルダーを集団療育教室(七野の職場のひとつ)のスタッフのクリスマスプレゼントにしました。写真はその一部です。

第2話 お母さんに伝えたいこと

 (最近、久しぶりに2人で出かけて#チームラボボタニカルガーデンのイベントを楽しんだ話しをした後に)

M:::お母さんは、今がんばってくれて、お仕事してくれてて、Mと一緒にいて幸せですか?

母 「しあわせよ」

M:::聞きたいなって思ってたけど、なんか恥ずかしくて言えなかったんだ。たぶんお母さんがMと(普段の生活の中で)筆談してて、なんかちゃう(ちがう)と思ってたんでしょ。あたりです。

 なんかうれしいです。

M:::Mも母さんといると、めっちゃ安心する。でも、ショートステイも行くからね。

ショートステイでも、自分の居場所 ちょっとづつ作ってるつもり。

自分一人で(ショートの)用意はできないけど、泊まる時の心構えとして、自分の用意は自分でしたいと思ってる。 母さんは、無理と思いますか?

母 「ウッ(痛いところを突かれた感じで、答えに窮する)(難しい、、、かなあっというのが、正直なところの様子)」

母 「しようって言っても、『いらない』っていうでしょ(ちょっと反撃?)」

七野 「『いらない』って、したことないから、できるかどうか不安だし、愚痴ってると捉えてみるのは どう?!」

母 「かばんにいれる?」

M:::お母さんは無理って言うけど、無理は無理でないようにしたいんです。ちょっとやりはじめてみて、上手くいかなかったら、また七野先生に相談したらいいでしょ!

追記 その後、ショートステイの用意は、手伝ってもらいながら本人がしているとのこと!

聞きたいことは・したいことは、有言実行でやれちゃったよって事でしょうか。

第3話 「筆談援助者勉強会in大阪」にユーザーさん(筆談実体験の協力者)として参加していること

M:::お母さんも、他の人と筆談(体験)したいでしょ。この前は、別の人と筆談してどうだった?

(母の答えを待つ前に)書きやすかった? 緊張した? 大丈夫だった?

「ストップ!(自分の心のザワザワを感じたのか、自分から音声言語と手の動きで、書くのを止めた?)」

お母さんも、違う人と書いてみたいと思うでしょ。

だからMも大丈夫になりたい(言葉が上手く出ずに、身体が動いてしまう事があるので、母はMの横でサポートすることが多い)

もちろん 母さんを自由にさせてあげたい。

七野(勉強会の主催者なので) 「お母さんも、別のユーザーさん達(大抵4,5人ユーザー協力いただいている)とするチャンスつくるよ」

M:::やってみるよ

七野 「心にある誰でもが持っている心棒(その年齢なりにしっかりしたい・役に立ちたい思い)の大人心を立ててみよう」

M:::しまってる!? 大人の心はしまってしまって、驚きと優しい心があって、おどろきの心が僕の気持ち、ザワザワさせる。

優しい気持ちは(筆談練習の時に)「(ユーザー)先生 お願いします 書いてね」って言われると、サービスしたくなる。だから、やっぱり勉強会には行きたいです。

お母さんも(勉強会に行くために、お仕事)お休み取ってくれて、ありがとう。Mと楽しい勉強会にしましょう。(自分たちが創っている勉強会なんだという、意欲が聞こえてきて、嬉しいかぎり“涙”)

あきらめないでは、本当にウクライナの人に言いたい。自分の国だから、一生懸命守ってる。だから応援したい。あきらめないでって応援したい。

(Mさんは、身体のコントロールが上手くいかなくて、(ずいぶん前だが)自暴自棄になっていた時期があり、「あきらめる」と口にすることがあった。母も七野も「あきらめへんよ」って、(心と身体で)張り合っていた事を、七野は思い出した。20年以上のお付き合いで、しっかり自己承認の道を歩んでいるなあと、母も七野も感慨深く感じました。)

以上 3話でした。 読んでいただき、ありがとうございます。