ハンディのある人との『筆談コミュニケーション』

自閉症、ダウン症、重度心身障害の人たちの豊かな内面と出会えます

筆談勉強会 in 福岡 

8月11日、ユーザーさん2名、母2名、学生1名、渡辺、白石の7名での集まりとなりました。

 

☆T君(高校生)学生との練習(ユーザーの手の上に手を重ね支える)

学生は大阪での筆談勉強会にも参加したことがあり、とても意欲的である。

 ※青字は筆談

ひらがなカード

 まずは文字をみながら、一緒に書く(文字のみのカード)

 ⇒スムーズに書けることもあるが、T君はかなり手に力が入りやすいようで、ぐちゃぐちゃな字となると学生も書けたという実感がもてない様子。書く文字以外の動きにいかないように張り合ってもらう。

・これはなんでしょう?

 絵(例えば 車の絵)が描かれたカードの上に一文字だけひらがな(車なので『く』)のカード。

 ⇒一文字ではなく、『くるま』とみてわかるほうが、お互いに安心して取り組みやすいかもしれない。

・食べ物絵本

 この中で好きな食べ物は?

 ⇒「たいやき」と書き、おいしいよね、私もすきだななど話が広がっていた。

 T君の、支えてもらいながら書き上げた時のやり遂げた表情、勉強するよ!次は?というやる気満々で私をみつめる表情が頼もしかったです。

   

☆H君(25歳)

鉛筆を持ったときから緊張で身体中に力が入いっているので、マットに移動し、渡辺と身体のやりとりをする。

 

しばらくして筆談を始めると、「T君と話したい」とのこと。

ちょうど、T君も白石と「H君大丈夫かな?」と筆談していたところであった。

机を向き合わせて話を始めた。

途中、

T「たいやきすき?

 さっき話してたんだよね。好きなら今度一緒に食べたいね。

H「すきじゃない。あんぱんならいいよ

 思わず笑ってしまうやりとりでした。

 

しばらくしたら、H君が涙を流しながら声をあげて優しく泣き出しました。

T「かなしいの?

H「ちがう、うれしいの

T「なきたいときはなけばいいよ

分かってもらえるって嬉しいよねと、私ももらい泣きしちゃいました。

 

2時間は、あっという間に過ぎました。

後日、感想をもらいました。

T君の母

2時間ほどの 勉強会でしたが 久しぶりで懐かしく思いました。
気持ちを出すことの葛藤や言えない気持ちが出せた瞬間を 間近に見てこちらもぐっとくるものがありました。
人は誰でも気持ちを持っていて 折り合いをつけながら過ごしているけど 一人ではどうしようもない時は助けてもらう 応援してもらう場は必要だなと確信しました。
ありがとうございました♪

H君の母

筆談勉強会ありがとうございました。予想してしまってた通りのHくんのドキドキに対する行動と私のそれに対する感情でした。
関心を持って参加して頂いた学生さん、素敵な方でしたね。
TくんもHくんのことを気にかけてくれてるのがすごく伝わってきて、頑張ってくれてて、ありがたかったです。
学生さんと筆談体験できたのかな?
ほんとにまた参加してくださると嬉しいですが…そして、理解して下さる方が増えるとありがたい。
Hくん、久しぶりに泣けてましたね。最近落ち着いてるようにはしてても、やはりいろいろな気持ちを伝えられたり、Tくんとか友達と会話が筆談でできる時間が作れると、ほんとうによいなと思います。
参加して嬉しかったと思います。動きはすごかったですけど、あの場所と時間はHくんと私にとって、大切です。
帰りはホッとしてか、寝てました。
白い紙にむかって鉛筆を持つことの難しさを4年ぶりに体験しました。
Hくんも言ってましたね。こわいみたいなことを…私もです。
筆談サポートがもう少し自信もってうまくやれたらと毎回感じます。
久しぶりに筆談勉強会を開いて下さり、感謝しています。またの機会をドキドキしながら楽しみにしています。

渡辺

4年ぶりの筆談勉強会でした。H君もお母さんも緊張した感じでの参加で 会場も初めての場所でしたので それも含めた緊張感もあったと思います。それぞれの挨拶前から何度も落ち着かなくお気に入りのバックを持ってドアの外に帰りたがりました。
机に向かっての筆談が始まりましたが H君もお母さんもドキドキした感じで伝わって来ましたので まずは
今の気持ちを聞いた方が良いかと思いの筆談をしました。筆談を進める中で 身体の固さを感じたことから
事前に用意しているマットへ移動して身体伸ばしでのキャッチポールと呼吸合わせをしながら歩調合わせでした。歩調が合った感じになって 再度筆談の席に。
H君の気持ちが身体から溢れるように筆談の文字に現れました。
T君との対面での筆談対談では 久しぶりの気持ちを打ち明けるのに怖さと勇気とワクワクした感じで身体とこころでぶつけて来ていました。その中で 白い紙に書く時と何回か書いた紙に書く時との抵抗感が違うことに体から伝わって来ました。白い紙に書く勇気が彼の中では怖いものがあると思い 書いた紙に続けて書くことで少し安心感を感じて筆談対談ができました。4年ぶりの出会い 想い なかなか会えない人 繋がりの中での深い願いを感じてH 君はこころからT君の言葉を噛み締めるように涙が溢れていました。
その瞬間 瞬間で身体の固さが抜けていっていました。        渡辺千秋

 

学生さん(帰りの反省会にての一言)

「ワンチームでしたね!また来ます!」

 

と、とてもいい表情の彼女でした。

学ぼうとする思いが伝わってきて心強かったです。

T君と筆談練習しているときに、大阪では「相手の手に添うだけでいい」と教えていただいたけれど、一人ひとりの寄り添い方は違うんですね。と、大事なことに気づいていました。

 

          (しらいしようこ)