ハンディのある人との『筆談コミュニケーション』

自閉症、ダウン症、重度心身障害の人たちの豊かな内面と出会えます

わかってくれる人の存在が勇気を与えてくれる

 

今日は初めて若い女性のアシスタントに入ってもらいました。そのために相当緊張したのでしょう。手の動きが硬くて、筆談も最初はとても書きにくい状態でした。特に今大きな困り感はないようで、おばさんが亡くなって、葬儀に参加してきたというお母さんの話の感想を聞いてみました。死ぬと体だけになり、焼いて最後は何もなくなり、そして、それはみんな同じなんだとわかったということでした。そして、死ぬまでの間、自分なりに精一杯生きようと思ったと書いていました。また、自分が死ぬことに怖さはないけれど、お母さんがいなくなるのは怖い。自分が生きている間死なないでもらいたい、、というようなことを書いていました。お母さんは、それは無理! でもまだ当分大丈夫と答えていました。

少しリラックスしてもらおうと思い、床に寝てもらって体操に誘いましたが、体がガチガチで全く動かないので、しばらくアシスタントとお母さんに手と腕を支えてもらって、背中と付き合うことにしました。下の方から触れていくと、ちょうど肩甲骨の少し下ぐらいのところで、うーん!と押し返す力を感じたので、そこに留まって、体の表現につきあいました。しばらくつきあったら、仰向けに寝てもらう誘いを受け入れてくれました。

お母さんには頭のところにいてもらい、アシスタントと二人で片足ずつ持って、つきあいました。最初は、ドキドキしながら、こちらを伺うように、おずおずと動いていましたが、ゆっくりつきあっていると、だんだんと大胆に動くようになり、笑顔も見えてきました。最初は、お母さんに腕をぎゅーとつかんでいましたが、その手も放して、もう大丈夫という感じでした。最後は足を曲げて足の裏を私のお腹あたりに触れてもらって、ゆっくり静かに一緒にいました。

体操のあとの筆談では、新しい人が自分を嫌でないかと緊張したが、足のやりとりでゆっくり、のんびりできて、安心したことを伝えてくれました。アシスタントにも「ありがとう」と筆談で伝えることができました。その後の筆談でのやりとりです。

「また来てください。ぼくのことを分かってくれる人が増えるのはすごく嬉しいです。僕は話せないけど、気持ちはちゃんとあります。それを分かってくれる人は多くないです。阿部先生の他にも書いて伝えることが、初めて書けて嬉しかった。(M:石田先生とも書いたよね)そうでした。石田先生も僕の気持ちをわかってくれる先生でした。(世の中の)みんなは僕の気持ちがわからないけど、少なくてもわかってくれる人の存在は、僕に大きな勇気を与えてくれます。もっと書ける人が増えたらいいなあ。(阿部:今年は職員のための筆談の研修をしようと考えているよ)お願いします。僕たちを助けてください。(最後に何かある?)(アシスタントの人に)書いてくれてありがとう。」