ハンディのある人との『筆談コミュニケーション』

自閉症、ダウン症、重度心身障害の人たちの豊かな内面と出会えます

Sさんと母と七野の筆談と心のケアセッションの軌跡 その2

コロナ禍の中、家族関係や自律した生活を模索している姿が、Sさんとそのサポーターたちから、見えてきます。

筆談は、ほぼ平仮名ですけれど、文章は漢字仮名交じり文で示します。()内は、母と七野の状況説明になります。

 

202X.梅雨

いつもお世話になります 暑くなってきました。僕は汗かきです いつもタオルがいります。

お母さんが色々考えてくれたので 何とか家の生活が出来ました。

歴史ある話し(毎年暑くなると繰り返される事)です。まあ元気です。風邪はひきました。

 

202X.秋

いつもこの日を待っていました。ぼくのことは、お母さんがよく分かってくれているけど、お父さんはどうしても ぼくにとって気になる存在です。(リモコンやテーブルの湯飲みの位置が、Sのしてほしい位置にないこと)

イライラして申し訳ないのです。それでも、Sにとって気になるのは 家の中がいつも同じになっていることです。 

Sは 同じだと安心します 違うといてもたってもいられなくて、心配になってしまうのです。

父さんも(病気だったけど)元気になったし ちょっと気になることはある。 

でもいい家族でいたいから、Sも良くやっているなと言ってもらいたい。 

お母さんも元気で長生きしてもらいたいです。

 

202X.秋の続き(父の予定していた病気治療の事から、家族について語る。)

しんどかったのは父さんです。年取ってるのに手術するのは大変なことです。ぼくはまだ若いから、代わってってあげたかったよ。 

お父さんも 歳が高い人になったら(高齢者) 相談(定期検診?)に行くと良いと思います。

ぼくは (病院に行くのは)薬の相談です。 ただ 返事が出来ないのが残念。(病院に行くのは)緊張する、たまにしか会わないからなあ。 皆さん(病院スタッフ)の親切が嬉しい。 

お母さんと話したいけど 悲しませたくないから 言えない時もある。だから 色々なことをしてしまうので嫌になる。 将来の心配をかけ、ごめんなさい。

ぼくは、父さんと母さんに 長生きして欲しい。

ぼくも長生きします。 長生き家族でいようね。 

いつもぼくのこと考えてくれて、ありがとう。

 

202X.お正月(母と筆談、途中から七野)

あけましておめでとうございます。色々してもとめてほしい。

いくら気になるといっても 聞いてもらえないことは、窓の開けること閉めることです。

(いえでのこと?)違う。(詳しくは語らない)

 

園も無いし(コロナの為休園) 毎日結構、暇してます。(家の)手伝いは好きです。

お母さんの毎日の仕事(家事)は 丁寧にしてると面白くなってきます。ぼくは家にいることも それなりに楽しんでいるんですよ。

 

(ロヒンギャ難民の話、日本の子どもが靴を送ったの新聞記事を一緒に読んで)

外国の子どもで、靴が無い子もいるんだね。 びっくりです。 足が痛くなるよね。

靴をあげた、いい話しですね。 日本の子どもは、やる気がある子はいろんなことが出来る。

 

202X.春 (ここで撮った動画や筆談を支援員さんに見てもらうことについて)

いいと思うよ。Sのことを、「あまり分かってない人」と思っているから、みたらどうするのか知りたい。 今迄だって 門を閉めるのは(やまゆり園事件で、こわくなったからなのに)、ただのこだわりって、決めつけたんですよ。 僕らだってまだまだ進化形です。 

コロナは難題です 特に歳いった人が気をつけないと、大変なことになるので ぼくも家族も今まで通りの生活は出来なくなっても、辛抱しながらです。

(その時の変化に対応して、進化してますね!と七野)

今の話しで ぼくも父さんも進化形と言われて なんか嬉しいです。

 

202X.(コロナが一旦収まって、通所再開)

ぼくはやっと園にいけて、ホッとしています。ずっと家にいると (親に)迷惑をかけてしまうので 申し訳ない気持ちになって、(それなのに)又失敗をしてしまいます。

(家の中の様子は)いつも同じがいいです。父さんと今は仲良くしています。

(母からの提案で、Sさんが落ち着ける環境を、家族でつくられている)

お店(スーパー)に行くことが有りました。皆急いで買い物をしていました

ぼくはお母さんの手伝いがしたいんです。

 

(かかと落とし体操は?という、室内で出来る、運動を紹介してここ数ヶ月続けている)

かかとがスッキリして良いです。初めてでもじょうずに出来るので嬉しいです。

お母さんと一緒にしましょう。 お父さんはあまり乗り気がないと思う。

いつも気になる事を 気にしなくてよいと言われるのが 結構辛い。

お母さんが色々と分かって貰えて嬉しい。色々しても 怒らないで、とめてほしい。

ぼくは 本当に(いろいろこだわりに見える、他の方には迷惑になってしまう行動を)早くやめたいので とめてほしい。

 

202X.春(家で、母と筆談)

聞きたいと思って(している行動とは、違った意図の事を)、色々(こまってしまう行動を)したけど 今は書いて聞けるから、色々心配しなくてもいいのに、

(やっぱり)色々してしまう。 

辛かったけど、お母さんがいたから大丈夫だった。色々して (お母さんは)怒らなかったから 僕(のこと)が好きだと思った。

 

つづく